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YABEに暮らした人たち その4 空き地にお砂場を造った人

5Aにある「こどものひろば(通称:三角公園)」は、1965(昭和40)年頃に第9代町内会長 熊谷直好さん(故人・11A)を中心に町内有志の尽力で造られました。この広場は横浜市や戸塚区といった行政が管理しているのではなく、私たち谷矢部東町内会が維持・管理に携わり、今もこども会役員の皆様と有志の方が清掃活動を続けてくださっています。

今回は、この「三角公園」に砂場を造った当時の様子を、新井春海さん(14班)にお話を伺いました。

こども達をよりよい環境で育てられる町に

空き地に砂場を(新井春海さん提供)
空き地に砂場を(新井春海さん提供)

 当時、谷矢部東町内は区画された分譲住宅地に家々が建ち、まとまりの良い住宅地でした。しかし、こども達が休日や放課後に自由に楽しく遊べる公園がありませんでした。こども達は、戸塚道路(通称:ワンマン道路)の斜面で草滑りや斜面下のわずかな平地でキャッチボール等をしていたそうです。しかし、その場所も危険ということで金網の柵で囲まれてしまい入れなくなりました。公園のような空き地のない、私たちの町内ではどうすることもできませんでした。

 

 そんな折、5班A横に小さな空き地があることがわかり、せめて幼児を持つご家庭のこどもさんの遊び場として活用できないか、と町内の役員会で話し合いました。そして、会長の熊谷さんを中心に有志で整地をし、夏の暑い日盛りの下、青少年・体育指導員だった私を含む5人が、仕事の合間を見つけて手づくりの砂場を造りました。

 

 昔も今も、こどもの遊び場にとしての公園には必ず砂場があります。三角公園に砂場を設けたのも、幼児を砂場で遊ばせる良さや大切さを当時の町内会の役員の方たちが、ご自身の子育ての経験からご存じだったからだと思います。幼児をはじめ小さなこどもたちが、生まれて初めて外に出て遊ぶ場所として、現在でも身近に砂場があれば「砂遊び」をすることが多いのではないでしょうか。

 最近の研究では、砂遊びは特に幼いこどもにとって「手先が器用になる」「運動能力が高まる」「創造力が高まる」「社会性が身につく」「集中力・忍耐力が高まる」といった効果があるとも言われています。

有志の方々は、出来上がった砂場で親子が楽しく遊んでいる姿を創造しながら造られたことと思います。

こどもは遊びを通して学び、おとなは遊びを通してつながる。

 時々愛犬を連れて近隣町内の公園に行き、学校から帰って来たこども達が三々五々公園に来て元気に遊んでいる姿を見ています。砂場で遊ぶ子、サッカーボールを蹴って遊ぶ子、鉄棒でさか上がりをする子、追いかけっこをする子、公園の隅っこで笑いながら話し合っている子等を見かけます。そんな時いつも、谷矢部東町内会のこども達はどこで何をして遊んでいるのだろう、と思います。今はこども達も成長し、町内のこどもの姿も見えないし声も聞こえなくなりましたが、昔は車の通りも少なく広い町内の道路で、こども達の遊ぶ姿を見かけたものでした。

1963(昭和38)年元旦 現在のコートパル付近から住宅地の奥を望む。しめ縄が掛かっている建物は現在の塚越動物病院のあるスカイピアイースト(石綱正夫さん提供)
1963(昭和38)年元旦 現在のコートパル付近から住宅地の奥を望む。しめ縄が掛かっている建物は現在の塚越動物病院のあるスカイピアイースト(石綱正夫さん提供)
1963(昭和38)年 現在のコートパル付近から。右側に薬局が見える(石綱正夫さん提供)
1963(昭和38)年 現在のコートパル付近から。右側に薬局が見える(石綱正夫さん提供)

「ふゆのお話会」で作って遊ぶ「びゅんびゅんごま」
「ふゆのお話会」で作って遊ぶ「びゅんびゅんごま」

 しかし、最近では町内の住民も若返り、幼児を含めたこども達の姿が見え隠れするようになりました。

「砂遊び」だけでなく、こどもにとって「遊び」は、昔も今も社会の変化や遊び方が違っても、生活力をはじめ社会性等を学ぶことができる場であると思っています。

遊びの楽しさをこども達自身で体験できる環境や場を、家庭や町内で少しでも工夫できないでしょうか。

 ・ものがたりを聞いたり読んだりして遊ぶ

 ・ものを作ったり、道具を使って遊ぶ

 ・機器を使って遊ぶ

 ・身体を使って遊ぶ

 

 こども達の「遊び」は、幼児の時に砂場で遊んだ体験の延長で、身体で学んだことが役立っていると言われています。

日本一小さな私たちの町内の公園ですが、「砂場」は人として立派に育つ第一歩でもあると思います。

これからも大切に活用して、逞しいこども達に育てて行ってほしいと願っています。

気軽に挨拶をかわし、出会いを楽しむ町内になってほしい

個人主義の行き過ぎた尊重や、心のゆとりの喪失によって、自分の家庭や生活を大切にしすぎるあまり、多くの人は家に閉じこもることが多くなったように思います。隣近所との出会いを好まず、挨拶や言葉を交わす機会も少なくなりました。隣に住んでいる人さえも良くわからなくなっているのが最近の傾向ではないでしょうか。地域社会に人と出会うことの楽しさや良さを知る「機会や場」をより多くつくることは、コミュニケーション力を高め、また枯れることのない「生きる力の泉」を持つ人間の育成にもつながるのだと、長い教諭の経験から実感しています。

 

簡単に「昔が良かった」などとはさらさら思ってもいませんが、大人やこどもが交流できる場を創ることに信念と熱意を持っていた先人の皆さんの想いを、これから先も皆で引き継いでほしいと切に願います。(談)

三角公園は今も、こども達が安全に遊べるようにと、こども会と有志の方が毎月1~2回清掃してくださっています。

 こども会会長の河田由紀子さん(6A)は

「三角公園には、シーソー、すべり台、お砂場、そして藤棚の下にはベンチもあり、幅広い年代の方に親しまれていると思います。これからも気持ち良く利用できるよう、多くの方に気にかけていただけると嬉しいです」
とおしゃっていました。

 

 

今の時代にふさわしい交流の場を提供する地域づくりを、町内全員で考えていきたいと思います。

「お話会」で読み聞かせの『びゅんびゅんごまがまわったら』
「お話会」で読み聞かせの『びゅんびゅんごまがまわったら』

 

2023年115日(日)午後1 時30 分~3時(@青少年会館)、新井春海さんからのお話をお聞きし、また参加者全員で「びゅんびゅんごま」を作り、こどもと大人が一緒に遊ぶ「やとやべひがし ふゆのお話会」を開催する予定です。

詳細は回覧やホームページ、または以下に添付の案内書等でご覧のうえ、ぜひお申込みください!

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冬のお話会の案内(申込書付き)
回覧用紙(冬のお話会).pdf
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